いつもありがとうございます。

あべ治療院の阿部裕次です。

今回は女性に多い、足のむくみと蕁麻疹についてです。

現場のお客様をみて感じたことになります。よかったら参考になさってください。

梅雨の季節になると、街を行き交う人々の足取りがどこか重く、疲れをまとっているように見えます。

湿気で空気が重くなるように、私たちの身体の中の「水」もまた、行き場を失って滞りやすくなる季節です。

日々の仕事、育児、そして目に見えない心の緊張。

それらが少しずつ積み重なり、ある日突然、身体が悲鳴を上げることがあります。

今回は、ある30代の女性が経験した「蕁麻疹(じんましん)」から「足首が消えるほどのむくみ」、そして「膝の痛み」へと繋がった心身のドミノ倒しについて紐解いてみたいと思います。

一見、別々に思えるこれらの不調は、実はすべて一本の線で繋がった、身体からの「キャパオーバー」のサインでした。

1. ある女性の物語:蕁麻疹から始まった不調の連鎖

会社員として働きながら、2人のお子さんの育児に追われる30代の女性、Aさん。

夜は比較的眠れているものの、座り仕事や時に肉体労働が多く、日々の疲労は自覚されていました。

さらに、慢性的なストレス(緊張感)を抱えており、心身ともに「ホッと息を抜く余白」が慢性的に不足している状態でした。

そんなAさんの身体に異変が起きたのは、梅雨入り直前の先月のことです。

友人から旅行のお土産にもらった海外製の美容サプリメントを飲み始めたところ、数日後に原因不明の激しい蕁麻疹が全身に出てしまったのです。

数日間、強い痒みが続き、処方された痒み止めも効かず、最終的に強い抗アレルギー薬を飲むことでどうにかおさまりました。

しかし、一難去ってまた一難。

6月中旬に本格的な梅雨に入り、連日雨が続くようになると、今度は下半身の猛烈なむくみに襲われます。

7月に入る頃には、「足首の形(くるぶしの境界線)がわからなくなる」ほど足元がパンパンに膨れ上がってしまいました。

さらに追い打ちをかけるように、数日前からは歩くたびに「膝(ひざ)」に痛みが走るようになります。

痒みはおさまり、動けるからと仕事には行っているものの、足が重く痛むため、心も身体もすっかり暗い雨雲に覆われたような状態になっていました。

病院で処方されたむくみ取りの薬(利尿剤)を飲んでも、一向に変化が見られないといいます。

2. 身体の中で起きていた「キャパオーバーのロードマップ」

蕁麻疹、猛烈なむくみ、そして膝の痛み。

現代医学の窓口では、それぞれ皮膚科、内科、整形外科とバラバラに扱われがちな症状です。しかし、東洋医学や自然療法の視点、そして自律神経の仕組みから見ると、これらは身体の中で綺麗に一本の線でつながっています。

彼女の身体の中で何が起きていたのか、考えてみましょう。

① 慢性的な「心の緊張」が溜め込む身体を作る

すべての土台にあったのは、仕事の肉体疲労だけでなく、「慢性的なストレス」でした。

家の中で常に緊張状態にあると、人間の自律神経は休まる暇がありません。

脳は常に防衛モード(交感神経の過剰優位)になり、副腎から「アルドステロン」というホルモンを分泌し続けます。

このホルモンには、体内に塩分と水分を強烈に溜め込む性質があります。つまり、「心が休まらない」というだけで、身体は物理的に水を溜め込む準備を始めてしまうのです。

② 内臓の悲鳴としての「蕁麻疹」

自律神経が乱れ、日々の疲労で肝臓や腎臓といった「解毒の臓器」がギリギリの状態で踏ん張っていたところへ、お土産のサプリメントという新しい成分(異物)が投入されました。

サプリメントは良かれと思って摂るものですが、疲弊した身体にとっては、分解・処理しなければならない「過重労働」になります。

限界を迎えていた内臓と免疫系は、この成分を処理しきれず、「もうこれ以上は無理!」と悲鳴を上げました。それが蕁麻疹の本質なのではないかと思います。

③ 梅雨の湿気と「痩せ身」の落とし穴

蕁麻疹は薬で抑え込んだものの、その薬を代謝するために内臓(特に水分代謝を司る腎臓)はさらに疲弊します。

そこへ梅雨の「高い湿度」が合流しました。外の湿気が高くなると、皮膚からの発汗による水分調節がうまくいかなくなります。

ここで影響するのが、Aさんの「痩せ身」という体型です。

スラリとした細身の女性は、一見健康的ですが、下半身の血液やリンパを心臓へ押し戻す「ふくらはぎの筋肉(ポンプ機能)」が弱い傾向にあります。

内臓の疲れ、心の緊張、筋肉量の少なさ、立ち仕事による重力、そして梅雨の湿気。

これらすべての要素が重なった結果、下半身の血流不全(東洋医学でいう『水滞(すいたい)』)が爆発し、足首が消えるほどのむくみとなったのです。

④ 関所の大渋滞が「膝の痛み」を呼ぶ

では、なぜ最後に膝が痛くなったのでしょうか。

人間の下半身において、「膝の裏」は血液やリンパが上がっていくための最大の関所です。

足首がパンパンにむくむということは、膝の裏の関所で物流が完全にストップ(血流不全)している証拠です。

行き場を失った水分が関節の組織を内側からパンパンに圧迫し、それが痛みを引き起こします。

さらに、足首が水でロックされて柔軟に動かなくなると、歩く衝撃を足首で吸収できなくなります。

その結果、すべての衝撃を膝が代わりに引き受ける(代償動作)ことになり、構造的にも膝が悲鳴を上げてしまったのです。

3. なぜ「薬やサプリを増やすこと」で変わらないのか

身体に不調が出ると、私たちはつい「何か新しいサプリを足そうか」

「もっと強い薬を飲もうか」と、【足し算】の解決策を求めがちです。

しかし、今回のケースのように身体が「キャパオーバー」を起こしているときは、その足し算こそが引き金を重くします。

病院で処方される利尿剤などは、腎臓に働いて水分を強制排出させますが、身体の根本的な巡り(血流不全)が直っていない状態で水だけを抜くと、脳は「脱水の危機!」と判断し、薬が切れた時により強力に水分を溜め込もうとリバウンドを起こすと聞いたことがあります。正解はわかりませんが。

また、どんなに優れたサプリや薬であっても、それらを分解・解毒するのはすべて肝臓や腎臓です。

今、彼女の身体は「これ以上お仕事を増やさないで」とデトックスのストライキを起こしている状態です。

そこにさらに化学物質を投入することは、疲れ果てた身体に過酷な残業を強いるようなもの。

異常が止まらないときほど、最優先すべきは何かを足すことではなく、一度すべてをお休みして内臓を休ませる【引き算(ゼロリセット)】の選択なのではないかと思います。

4. 梅雨時に重なる「むくみ」と「頭痛」の地続きの関係

臨床の場で多くの女性の身体を拝見していると、今回のAさんのような「下半身のむくみ」と、梅雨時期に特有の「頑固な頭痛(気圧頭痛)」をセットで抱えている方が非常に多いことに気づかされます。

足と頭は一番遠く離れていますが、これも「水滞(水分代謝の滞り)」という視点で見ると、全く同じ原因から生まれています。

下半身(足元)ですと、重力によって水分が下へ落ち、筋肉のポンプが弱いため停滞し、足首が消えるむくみ、足の重だるさ、膝の圧迫痛が出る方が多いと思います。

上半身(頭部)ですと、気圧の低下(雨や台風)により血管が拡張し、脳の組織が軽微にむくみ、締め付けられるような頭痛、目の奥の重さ、めまい
が出る方が多いと思います。

梅雨時に低気圧が近づくと、外からの圧力が減るため、人間の身体(細胞や血管)は外側へ膨張(むくみ)しやすくなります。

下半身の巡りが悪く、水分を溜め込みやすい体質になっている人は、気圧の変化を受けたときに頭部の血管まわりの組織も一緒に膨張してしまいます。

その膨らんだ組織が周囲の神経を刺激することで、あの嫌なズキズキ・ジワジワとした頭痛が引き起こされるのです。

つまり、足のむくみを整えることと、頭痛が出にくい身体を作っていくことは、根っこにおいて全く同じ作業なのです。

5. 繊細な身体に、心地よさという「余白」を書き足す

若い頃に帯状疱疹を経験していたり、その他のアレルギーを持っていたりする方は、元々「皮膚や神経、免疫系が環境の変化に対してとても過敏に反応しやすいタイプ」であることが多いです。

こうした繊細な身体をお持ちの方に対して、「薬をやめなさい」「サプリはダメ」といった禁止令や、強いマッサージなどの刺激を与えるのは逆効果になり得ます。

過敏な神経が「攻撃された」と身構え、防衛反応でさらに血管を硬く縮めてしまうからです。

大切なのは、禁止することではなく、「あぁ、気持ちいいな…」という心地よさの感覚(快感覚)で、尖った自律神経を優しく丸めてあげることです。

例えば

 「仙骨(せんこつ)」をじんわり温める

お尻の割れ目の少し上にある平らな骨(仙骨)のあたりを、シャワーの熱めの湯で長めに温めるか、ホットパックなどで温めます。縮こまっていた骨盤内の血管が緩み、下半身の巡りのブロックが解除されます。

おわりに:食事と睡眠、そして「何もしない時間」

東洋医学の世界には、「食事がちゃんとしていれば、余計なものは要らない。そこを正してちゃんと寝れば、大抵のものは治る」という、とてもシンプルで力強い養生の教えがあると聞いたことがあります。

体調が優れないときほど、私たちは外側に何かを求めたくなりますが、本当に必要なのは、胃腸に負担をかけない優しい食事を摂り、サプリや薬をお休みして内臓を完全に休ませ、とにかく横になって眠ることです。

私たちの身体は、日々、私たちが思う以上に健気に、そして一生懸命に働いてくれています。

誰かをケアするために、自分の時間や心の「余白」を削り落として頑張っている女性なら、なおさらです。

蕁麻疹が出たことも、足首が消えたことも、膝が痛くなったことも。それは決してあなたの身体がダメになってしまったわけではなく、「もう十分に頑張ったから、少し荷物を下ろして、スペース(余白)を作ろう」という、身体からの精一杯の愛あるメッセージなのかもしれません。

東京の中野区という、慌ただしい住宅街の片隅で日々の臨床に向き合いながら、私はいつも、訪れる方の背中や脊椎に、その人が生きてきた軌跡と、いま必要な「静けさ」を見ています。

外側の喧騒やお仕事(処理すべきもの)から五感を解放し、身体が本来持っている「巡る力」を取り戻せるようなお手伝いをしています。

もし、あまりにも急激なむくみや強い痛みがある場合は、一度内科や腎臓内科、泌尿器科を受診し、検査によって「内臓に大きな異常がないこと」を確認して安心をもらうことも、心を緩める大切なステップです。

その上で、日々の暮らしの中にほんの少しの「引き算」と「心地よさ」を書き足してみてください。

雨の季節が明ける頃、あなたの心と身体に、心地よい風が通り抜けるスペースが戻っていることを、静かに願っております。

何かお困りの事がありましたらいつでもご連絡ください。

あべ治療院 阿部裕次

【東中野・中野坂上】

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